介護ベッドは買うな、借りろ

📅 2026年7月更新:本記事の商品情報・価格・サービス情報は2026年7月時点の最新情報に更新済みです。
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介護が始まると、真っ先に「買わなきゃ」と思うものがあります。介護ベッド、車いす、手すり、歩行器。ところがこれらは買う前に、ほとんどが介護保険で借りられます。しかも1割負担なら、介護ベッドが月1,000円前後です。

知らずに介護ベッドを購入すると、安いものでも10万円前後、電動リクライニング付きなら20万円を超えます。それが月1,000円で借りられて、しかも壊れたら無償で交換、不要になったら引き取ってもらえる——この差を知らないまま買ってしまう家庭が、いまも少なくありません。

この記事では、介護保険でレンタルできる13種目、要介護度による制限、品目ごとの実際の月額、そして「借りる」と「買う」の使い分けを整理します。

あんず
あんず

ふくちゃん、母に介護ベッドが必要って言われて。10万円以上するのね……どうしよう。

ふく
ふく

待って。介護ベッドは買うものじゃなく、借りるものだよ。介護保険を使えば1割負担で月1,000円前後。壊れたら無料で交換してくれるし、使わなくなったら引き取ってもらえるんだ。

あんず
あんず

えっ、そんな制度があるの?誰も教えてくれなかった……

ふく
ふく

ケアマネジャーに「福祉用具を借りたい」と言えば手配してくれるよ。ただし要介護度によって借りられる品目が変わるから、そこだけ押さえておこう。

介護保険で借りられるのは13種目

介護保険の「福祉用具貸与」で借りられるのは、厚生労働大臣が定めた次の13種目です。

種目 具体例 原則の対象
車いす 自走用・介助用・電動車いす 要介護2以上
車いす付属品 クッション、電動補助装置など 要介護2以上
特殊寝台(介護ベッド) 背上げ・高さ調整ができるベッド 要介護2以上
特殊寝台付属品 マットレス、サイドレール、介助バーなど 要介護2以上
床ずれ防止用具 エアマットレス、体圧分散マットなど 要介護2以上
体位変換器 空気パッド、起き上がり補助など 要介護2以上
手すり 据置型・突っ張り型(工事不要のもの) 要支援1から
スロープ 持ち運び可能な段差解消スロープ 要支援1から
歩行器 シルバーカー型・歩行車 要支援1から
歩行補助つえ 松葉づえ、多点杖、ロフストランドなど 要支援1から
認知症老人徘徊感知機器 外出を検知して家族に知らせる機器 要介護2以上
移動用リフト(つり具を除く) 床走行式・据置式・階段昇降機など 要介護2以上
自動排泄処理装置 尿・便を自動吸引する装置 要介護4以上(尿のみは要介護2以上)

要介護度による制限|ここが最初の壁

13種目すべてを誰でも借りられるわけではありません。要支援1・2および要介護1の「軽度者」が原則借りられるのは、次の4種目だけです。

  • 手すり
  • スロープ
  • 歩行器
  • 歩行補助つえ

介護ベッドや車いすは、原則として要介護2以上が対象です。これは「軽度のうちは自分で動いたほうが機能低下を防げる」という考え方に基づいています。

ただし「例外給付」がある

軽度者でも、医学的な理由があれば借りられる仕組みがあります。これを例外給付と呼びます。

たとえば「日常的に歩行が困難」「日常生活範囲における移動の支援が特に必要」といった状態に該当すると判断されれば、要介護1でも車いすを借りられます。判断の流れは次のとおりです。

  1. 主治医の医学的所見を得る(意見書や診断書)
  2. サービス担当者会議で必要性を協議する
  3. 市区町村が確認・承認する

手続きはケアマネジャーが進めてくれますが、家族から「例外給付は使えませんか」と聞かないと話が始まらないことがあります。要介護1で介護ベッドが必要な状況なら、遠慮せず相談してください。

ふく
ふく

「要介護1だから無理です」で終わらせないこと。例外給付という言葉を知っているかどうかで、結果が変わることがあるよ。

月額はいくら?主要品目の相場と自己負担

レンタル料は事業者ごとに設定されていますが、厚生労働省が全国平均貸与価格と上限額を公表しており、上限を超える価格では貸与できません。代表的な品目は次のとおりです。

品目 全国平均(月額・10割) 上限額 1割負担 2割負担 3割負担
特殊寝台(介護ベッド) 11,850円 12,210円 約1,190円 約2,370円 約3,560円
車いす 5,596円 5,940円 約560円 約1,120円 約1,680円
手すり 4,767円 5,430円 約480円 約950円 約1,430円
歩行器 2,670円 2,820円 約270円 約530円 約800円

※金額は2026年4月時点の公表値を基にした目安です。実際の金額は事業者・地域・機種により異なります。

注目すべきは介護ベッドです。購入すれば10万〜25万円するものが、1割負担なら月1,190円。8年借り続けても約11万円ですが、その間にマットレスの交換も、故障時の修理も、体調変化に応じた機種変更も含まれます。「買ったほうが得」になる場面は、実はほとんどありません。

付属品も含めた「セットの月額」で考える

介護ベッドを借りるときは、本体だけでなくマットレス・サイドレール・介助バーといった付属品も一緒に借りるのが一般的です。ベッド+付属品+床ずれ防止マットで、10割でも月1万円前後。1割負担なら月1,000円程度に収まります。

ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に見積もりを依頼すると、この「セットでいくら」という数字が出ます。品目ごとにバラバラに考えるより、この総額で判断するほうが現実的です。

2024年4月から「借りる/買う」を選べる品目ができた

2024年4月の介護保険制度改正で、一部の品目について貸与と販売を選択できる仕組みが始まりました。対象は次の4品目です。

対象品目 備考
固定用スロープ 持ち運び可能なもの(工事を伴うものは対象外)
歩行器 歩行車を除く
単点杖 松葉づえを除く
多点杖

理由は経済合理性です。これらは比較的安価で構造がシンプルなため、長く使うなら購入したほうが総額が安くなります。たとえば歩行器は月270円(1割負担)ですが、3年使えば約9,700円。購入すれば1割負担で数千円で済むこともあります。

判断の目安は「使用期間がどのくらい続きそうか」

状況 おすすめ
退院後の一時的な使用(数ヶ月) 貸与(レンタル)
状態が変化しやすく機種変更の可能性がある 貸与(レンタル)
長期にわたって同じものを使い続ける見込み 販売(購入)
体格や状態に合うか試したい まず貸与、合えば販売に切替

選択制では、福祉用具専門相談員とケアマネジャーが双方のメリット・デメリットを説明したうえで、利用者が決める流れになります。迷ったらまず貸与から始めるのが安全です。合わなければ変更でき、購入と違って無駄になりません。

買うしかないもの=特定福祉用具販売

肌に直接触れる、あるいは再利用が衛生的に難しい用具は、レンタルではなく購入になります。これを特定福祉用具販売と呼び、費用の7〜9割が介護保険から支給されます。

品目 具体例
腰掛便座 ポータブルトイレ、和式便器の上に置く便座、補高便座
入浴補助用具 シャワーチェア、浴槽用手すり、浴室用すのこ、入浴台
簡易浴槽 空気式・折りたたみ式の浴槽
移動用リフトのつり具 本体は貸与、つり具部分は購入
自動排泄処理装置の交換可能部品 レシーバーなど
排泄予測支援機器 膀胱の状態を検知して排尿のタイミングを知らせる機器

重要なのが年間10万円の上限です。毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間で、支給対象となる購入費の合計が10万円まで。自己負担割合に応じて1〜3割を支払います(1割負担なら、10万円の用具を1万円で購入できる計算)。

購入前に必ず確認すべき2つのこと

①「指定を受けた事業者」から買うこと。ホームセンターやネット通販で同じ商品を買っても、保険給付の対象になりません。都道府県の指定を受けた特定福祉用具販売事業者から購入する必要があります。

②先に立て替えて、あとから申請する自治体が多いこと。いったん全額を支払い、領収書と申請書を市区町村に提出して払い戻しを受ける「償還払い」が一般的です。最初から1割だけ払う「受領委任払い」に対応している自治体もあるので、ケアマネジャーに確認してください。

住宅改修(20万円)との使い分け

手すりには「レンタルできる手すり」と「工事して付ける手すり」の2種類があり、制度も財布も別です。ここを混同すると損をします。

福祉用具貸与 住宅改修
対象の手すり 据置型・突っ張り型(工事不要) 壁に固定する手すり(工事あり)
費用 月約480円(1割負担) 上限20万円の9割が支給(1割負担なら2万円)
上限 なし(毎月の支給限度額内) 原則20万円/生涯(引越や要介護度3段階上昇でリセット)
向いている場面 一時的・場所が変わる可能性がある 恒久的に必要な場所が決まっている

実務上の使い方はこうです。玄関やトイレなど「ここに絶対必要」と決まっている場所は住宅改修で固定式を。ベッド脇や廊下など「様子を見たい場所」はまず貸与の据置型を。住宅改修の20万円枠は貴重なので、本当に必要な場所に取っておくのが賢い使い方になります。

福祉用具でカバーできる段階を超えて、施設入居も視野に入ってきたら、費用の目安と空き状況を早めに把握しておくと判断がラクになります。相談・資料請求は無料です。

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レンタルの手続き|4ステップで完了

ステップ やること 所要の目安
① ケアマネジャーに相談 「福祉用具を借りたい」と伝える 即日
② 福祉用具専門相談員が訪問 住環境と体の状態を見て機種を提案・見積もり 数日
③ サービス担当者会議 必要性を確認し、ケアプランに位置づける 1週間程度
④ 搬入・使い方説明 設置と操作説明。その日から使える 当日

相談から搬入まで、早ければ1週間程度です。退院日が決まっているなら、退院前にケアマネジャーへ伝えておくと、退院当日にベッドが入っている状態にできます。

まだ要介護認定を受けていない場合は、先に認定申請が必要です。申請から認定までは通常30日程度かかりますが、暫定ケアプランを作ることで認定前から利用を始められる仕組みもあります。急ぐ場合はこの点もケアマネジャーに相談してください。

知らないと損する5つのポイント

① 事業者によって価格が違う

同じ機種でも、事業者ごとにレンタル料が異なります。上限額は設定されていますが、その範囲内で差が出ます。複数の事業者から見積もりを取ることは可能で、ケアマネジャーに「他社の見積もりも見たい」と伝えれば対応してもらえます。

② 故障・交換は無償が原則

レンタル品が故障した場合、修理や交換は事業者の負担で行われます。また、体調の変化で機種が合わなくなった場合も、別の機種に変更できます。これが購入との決定的な違いです。使っていて不便を感じたら、我慢せず相談してください。

③ 半年に1回のモニタリングがある

福祉用具専門相談員は、定期的に訪問して使用状況を確認する義務があります。この機会に「高さが合わない」「操作しにくい」といった不満を伝えると、調整や機種変更につながります。形式的な訪問と思わず、活用してください。

④ 支給限度額の枠を圧迫する

福祉用具貸与は、訪問介護やデイサービスと同じ区分支給限度基準額の枠内で計算されます。ベッドや車いすを複数借りると、その分だけ他のサービスに使える枠が減ります。限度額を超えた分は全額自己負担になるため、ケアプラン全体のバランスを見ることが大切です。

⑤ 不要になったら早めに返却する

入院や施設入所で使わなくなったのに、レンタルを継続しているケースがあります。使っていない期間もレンタル料は発生し、支給限度額も消費します。状況が変わったらすぐケアマネジャーに連絡してください。

よくある質問

Q. 要介護1でも介護ベッドを借りられますか?

A. 原則は要介護2以上ですが、例外給付の仕組みがあります。「日常的に起き上がりが困難」「寝返りが困難」といった状態について主治医の医学的所見があり、サービス担当者会議での協議と市区町村の確認を経れば、要介護1でも借りられる場合があります。ケアマネジャーに「例外給付を検討してほしい」と伝えてください。

Q. レンタル品は中古ですか?衛生面は大丈夫ですか?

A. 中古品ですが、返却後に専門の設備で消毒・洗浄され、部品交換と動作点検を経て再貸与されます。福祉用具貸与事業者には消毒工程の基準が定められています。マットレスなど肌に触れるものは、カバー交換や専用洗浄が行われます。

Q. 介護保険を使わず全額自費で借りることはできますか?

A. できます。要介護認定を受けていない、認定待ちである、限度額を超えているといった場合は自費レンタルが可能です。事業者によっては介護保険外の自費プランを用意しています。ただし全額負担になるため、認定を受けられる状態なら申請を優先してください。

Q. 購入した福祉用具は介護保険の対象になりますか?

A. 特定福祉用具販売の対象品目(腰掛便座・入浴補助用具・簡易浴槽など)を、都道府県の指定を受けた事業者から購入した場合のみ対象です。ホームセンターやネット通販で同じ商品を買っても給付されません。購入前に必ず確認してください。

Q. レンタル料は医療費控除の対象になりますか?

A. 福祉用具貸与は、原則として医療費控除の対象外です。ただし医療系の居宅サービスと併せて利用している場合など、条件により対象となるケースがあります。詳しくは税務署または担当のケアマネジャーにご確認ください。

まとめ|買う前に「借りられないか」を必ず聞く

介護用品で損をする最大のパターンは、制度を知らずに買ってしまうことです。介護ベッドも車いすも、月1,000円前後で借りられて、壊れたら無償交換、不要になれば引き取ってもらえる。この事実を知っているだけで、数十万円が変わります。

  • 13種目が貸与の対象。軽度者(要支援1〜要介護1)は手すり・スロープ・歩行器・杖の4種目が原則
  • 例外給付があるので「要介護1だから無理」で諦めない
  • 介護ベッドは1割負担で月1,190円前後。買うより圧倒的に有利
  • 2024年4月からスロープ・歩行器・単点杖・多点杖は貸与/販売を選択できる
  • 肌に触れるものは購入(年10万円まで/指定事業者から)
  • 住宅改修20万円は本当に必要な場所のために取っておく

まずはケアマネジャーに一言。「福祉用具を借りたいのですが」——ここから始まります。

あんず
あんず

買う前に相談する。それだけで全然違うのね。

ふく
ふく

そう。そして「要介護1だから無理」と言われても、例外給付という選択肢があることは覚えておいて。困っている状態が伝われば、道が開けることは多いよ。

この記事を書いた人|親あんしんナビ編集部(運営: Miyabi)
日本在住の運営者Miyabiと編集部が、公的機関・メーカー公式情報・各ECサイトのレビュー・専門メディアの公開情報を調査して執筆しています。介護・医療・法律の専門的助言ではありません。 コンテンツ制作ポリシー

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