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📌 この記事でわかること
全部読まなくて大丈夫。知りたいところだけ読んでください。
- 仕送りしているなら、親を「扶養」に入れられるかもしれません
- 1. 税金の扶養(所得税・住民税)|控除額は最大58万円
- 2. 健康保険の扶養|税金とはまったく別の制度です
- 3. 具体的な手続き|いつ、どこに、何を出すか
- 4. 扶養に入れる前に確認したいデメリット
※ 迷ったところから読んでOKです。
仕送りしているなら、親を「扶養」に入れられるかもしれません
離れて暮らす親に毎月お金を送っている。あるいは、実家の光熱費や医療費をあなたが負担している。そういう方は、年末調整や確定申告で「扶養控除」を受けられる可能性があります。
70歳以上の親を扶養に入れた場合の所得控除額は、同居なら58万円、別居でも48万円。所得税と住民税を合わせると、年間で数万円から十数万円の差になります。手続きは、勤務先に出す1枚の書類に親の名前を書くだけ、というケースも珍しくありません。
ところが、この制度は誤解されがちです。とくに多いのが次の3つです。
⚠️ 注意したいこと
- 「同居していないと扶養に入れられない」→ 誤りです。仕送りをしていれば別居でも対象になり得ます
- 「税金の扶養に入れたら健康保険も自動的に扶養になる」→ 誤りです。まったく別の制度で、基準も違います
- 「年金をもらっている親は無理」→ 誤りです。年金額によっては対象になります
この記事では、税金の扶養と健康保険の扶養を分けて整理し、「うちの親は対象になるのか」を数字で判断できるようにします。2025年(令和7年)の税制改正で所得の要件が変わった点も反映しています。
お母さんに毎月5万円仕送りしてるんだけど、これって何か手続きしたほうがいいのかな。
その仕送り、扶養控除の対象になるかもしれないふく。別居でも「生計を一にしている」と認められれば使える制度だふく。ただし親の年金がいくらかで変わるから、まず金額を確認するところから始めるふく。
1. 税金の扶養(所得税・住民税)|控除額は最大58万円
控除額はいくらか
親を扶養に入れたときの所得控除額は、親の年齢と同居の有無で決まります。
| 区分 | 親の年齢 | 控除額 |
|---|---|---|
| 一般の控除対象扶養親族 | 16歳以上70歳未満 | 38万円 |
| 老人扶養親族(同居老親等以外) | 70歳以上・別居 | 48万円 |
| 老人扶養親族(同居老親等) | 70歳以上・同居 | 58万円 |
年齢はその年の12月31日時点で判定します。また「同居老親等」に該当するのは、あなた本人または配偶者の直系尊属(父母・祖父母)で、常に同居している場合です。義理の親でも、配偶者の直系尊属なら対象になります。
「控除58万円」で実際にいくら戻るのか
控除額はそのまま返ってくる金額ではありません。控除額 × 税率が、減る税金の額です。
| 所得税率10%の方(課税所得195万〜330万円) | 58万円 × 10% = 約58,000円 |
|---|---|
| 所得税率20%の方(課税所得330万〜695万円) | 58万円 × 20% = 約116,000円 |
| 住民税(一律10%・控除額は45万円) | 45万円 × 10% = 45,000円 |
住民税の扶養控除額は所得税とは別に定められており、老人扶養親族(同居老親等)で45万円です。所得税率20%の方が同居の親を扶養に入れると、所得税と住民税を合わせて年間16万円前後の負担減になる計算になります。
いちばん重要な条件:親の「合計所得金額」が58万円以下であること
扶養に入れるには、親の合計所得金額が一定額以下である必要があります。2025年(令和7年)分から、この基準が48万円以下から58万円以下に引き上げられました。令和7年度税制改正によるもので、令和7年分以後の所得税に適用されます。
ここで注意したいのが、「所得」と「収入」は違うということです。年金や給料は、そこから控除を引いた残りが「所得」になります。
年金だけで暮らす親の場合|分岐点は「年金収入168万円」
公的年金には「公的年金等控除」があり、65歳以上の方は最低110万円が差し引かれます(年金収入330万円未満の場合)。
| 計算式 | 年金収入 − 公的年金等控除110万円 = 雑所得 |
|---|---|
| 扶養に入れる条件 | 雑所得が58万円以下 |
| したがって | 年金収入 168万円以下(65歳以上) |
たとえば年金収入が年150万円の親なら、所得は40万円。58万円以下なので扶養に入れられます。年金収入が年180万円なら所得は70万円となり、対象外です。
65歳未満の場合、公的年金等控除の最低額は60万円です。その場合の分岐点は年金収入118万円以下になります。
うちの母は年金が月12万円くらい。年間144万円だから…入れるの?
入れるふく。144万円 − 110万円 = 34万円の所得だから、58万円以下で条件クリアだふく。ただし年金以外に収入がないかは確認するふく。パート収入や、生命保険の満期金、株の売却益なんかがあると合算されるふく。
別居でも大丈夫|「生計を一にしている」の意味
扶養控除の条件に「納税者と生計を一にしていること」があります。この「生計を一にする」は、同居を意味しません。国税庁は、勤務や療養の都合で別居していても、生活費・療養費などを常に送金しているなら生計を一にすると認めるとしています。
✅ ここが大事
- 毎月一定額を仕送りしている
- 実家の光熱費・家賃・医療費を負担している
- 親の口座に定期的に振り込んでいる
- 帰省時にまとめて渡すのではなく、継続的に送っている
ここで大切なのが記録を残すことです。手渡しの現金は、税務署から確認を求められたときに証明できません。銀行振込にして、通帳やアプリの履歴を残してください。振込名義は必ず扶養控除を受ける本人の名義にします。
⚠️ 注意したいこと
- 手渡しの仕送りは証明が難しい。銀行振込に切り替える
- 振込は毎月または定期的に。年1回のまとめ送金は「常に送金」と見なされにくい
- 別居の場合は「同居老親等」ではないため、控除額は48万円になる
- 兄弟姉妹で同じ親を重複して扶養に入れることはできない。1人だけです
兄弟がいる場合は「誰が入れるか」を先に決める
同じ親を複数の子が扶養に入れることはできません。兄弟それぞれが年末調整で親の名前を書いてしまうと、あとから税務署の指摘を受けて修正申告になります。
誰が入れるべきかは、所得税率がいちばん高い人が原則有利です。同じ58万円の控除でも、税率20%の人なら約116,000円、税率5%の人なら約29,000円しか減りません。減税分を兄弟で分け合う取り決めをしておくと、揉めずに済みます。
ここは事前に話しておいたほうがいいふく。「知らないうちに兄が入れていた」で確定申告をやり直す羽目になった人、けっこう多いふく。
2. 健康保険の扶養|税金とはまったく別の制度です
ここが最も誤解の多いところです。税金の扶養と健康保険の扶養は、別々の制度で、判定基準も手続き先も違います。税金の扶養に入れたからといって、健康保険の扶養に自動的に入るわけではありません。
基準の違いを並べてみる
| 項目 | 税金の扶養 | 健康保険の扶養 |
|---|---|---|
| 判定する数字 | 合計所得金額 | 年間収入 |
| 基準額(親が60歳以上) | 所得58万円以下 | 収入180万円未満 |
| 年金の扱い | 公的年金等控除を引いた後 | 年金額をそのまま収入に算入 |
| 判定する期間 | 1月〜12月の暦年 | 今後1年間の見込み |
| 別居の場合 | 仕送りしていればOK | 仕送り額が親の収入を上回ること |
| 同居の場合 | 制限なし | 親の収入が被保険者の収入の1/2未満 |
| メリット | 所得控除で減税 | 親の国民健康保険料が0円になる |
| 75歳以上 | 対象になる | 対象外(後期高齢者医療制度へ) |
健康保険の扶養に入れる最大のメリット
親が国民健康保険に入っている場合、保険料は世帯で負担しています。これがあなたの健康保険の被扶養者になると、親の保険料負担がゼロになります(あなたの保険料も上がりません)。
国民健康保険料は自治体と所得により幅がありますが、年金収入150万円程度の単身高齢者で年間5万〜10万円程度が一つの目安です。これがまるごと不要になるわけですから、税の控除より効果が大きいこともあります。
年金の扱いに注意:健保では「180万円」がそのまま基準
税金では年金から110万円を引いた「所得」で判定しましたが、健康保険では年金額そのものが収入としてカウントされます。
| 60歳以上または障害者 | 年間収入180万円未満 |
|---|---|
| 60歳未満 | 年間収入130万円未満 |
| 同居の場合の追加条件 | 親の収入が、被保険者(あなた)の収入の2分の1未満 |
| 別居の場合の追加条件 | 親の収入が、あなたからの仕送り額より少ないこと |
別居の条件は、しばしば見落とされます。年金収入が月12万円(年144万円)の親を別居のまま健保の扶養に入れるには、それを上回る仕送り、つまり月12万円超を送っている必要があります。税の扶養は月5万円の仕送りでも通りますが、健保の扶養はハードルが高いのです。
えっ、じゃあ仕送りが月5万円だと、税金の扶養には入れるけど健康保険はダメってこと?
そのとおりだふく。この2つを混同する人がいちばん多いふく。税金は「所得58万円以下+生計を一にする」、健保は「収入180万円未満+仕送りが収入を上回る」。別の物差しだと思って、それぞれ確認するふく。
父母・祖父母は「同居していなくても」被扶養者になれる
健康保険の被扶養者には、同居が必須の親族とそうでない親族があります。父母・祖父母などの直系尊属は、同居していなくても被扶養者になれるグループです(配偶者、子、孫、兄弟姉妹も同様)。兄弟姉妹の配偶者や、おじ・おばなどは同居が条件になります。
75歳になったら健康保険の扶養からは外れます
これは避けられません。75歳になると全員が後期高齢者医療制度の被保険者になり、健康保険の被扶養者ではいられなくなります。親は自分で後期高齢者医療保険料を納めることになります。
ただし税金の扶養控除は75歳以上でも継続して受けられます。「健保の扶養から外れた=もう何もできない」ではありません。年末調整の書類からうっかり親の名前を消してしまわないよう、注意してください。
3. 具体的な手続き|いつ、どこに、何を出すか
税金の扶養:年末調整で完結します
👍 やることリスト
- 10〜11月ごろ:勤務先から「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」が配られます
- 「控除対象扶養親族」欄に親の氏名・生年月日・マイナンバー・続柄・所得の見積額を記入
- 別居の場合は「非居住者である親族」欄ではなく通常欄に記入(海外在住でなければ非居住者ではありません)
- 親の所得見積額を書く欄があるので、年金額から110万円を引いた数字を記入
- 提出は勤務先へ。税務署に自分で出す必要はありません
年末調整に間に合わなかった場合は、翌年に自分で確定申告をすれば同じ控除が受けられます。過去5年分まで遡って還付申告ができますので、「何年も仕送りしていたのに申告していなかった」という方は、諦めずに手続きしてください。
健康保険の扶養:勤務先経由で申請します
👍 やることリスト
- 勤務先の担当部署に「健康保険被扶養者(異動)届」を請求
- 親の収入を証明する書類(年金振込通知書、非課税証明書など)を用意
- 続柄を証明する書類(戸籍謄本または住民票)を用意
- 別居の場合は仕送りの証明(振込控え、通帳の写しなど直近3か月分程度)
- 提出後、認定されれば保険証(資格確認書)が交付されます
健康保険組合によって必要書類が異なります。まず勤務先の担当者に「親を扶養に入れたい」と伝えて、必要書類のリストをもらうのが確実です。
仕送りの記録がまだ整っていない方へ。
今月から銀行振込に切り替えるだけで、来年の年末調整で使える証明になります。手渡しを続けている限り、証明する手段がありません。まず1回、振込にしてみてください。
4. 扶養に入れる前に確認したいデメリット
扶養に入れることが必ず得とは限りません。見落とすと後で困る点を挙げます。
高額療養費の自己負担限度額が上がることがある
健康保険の扶養に入ると、高額療養費の自己負担限度額は被保険者(あなた)の所得で判定されます。親が単身で低所得だったときより、限度額が高くなる可能性があります。
親が継続的に入院・通院している場合は、扶養に入れる前と後で自己負担額がどう変わるかを必ず試算してください。医療費が高額な時期は、扶養に入れないほうが有利なケースがあります。
親が住民税非課税世帯でなくなる可能性
住民税非課税世帯には、介護保険料の軽減、高額介護サービス費の上限引き下げ、各種給付金など多くの優遇があります。税の扶養に入れること自体で親の住民税が変わるわけではありませんが、世帯分離・同居の状況とあわせて判断が必要なケースがあります。
介護サービスを利用中、あるいは今後利用する見込みがある場合は、地域包括支援センターやケアマネジャーに一度相談してから手続きすることをおすすめします。
⚠️ 注意したいこと
- 親が入院中・介護サービス利用中なら、限度額の変化を先に試算する
- 兄弟で重複して扶養に入れない。誰が入れるか事前に決める
- 税と健保は別制度。片方だけ該当することが普通にある
- 仕送りは銀行振込で記録を残す。手渡しは証明できない
- 75歳で健保の扶養は終わるが、税の扶養控除は続けられる
思ったより複雑…。でも何もしないともったいないよね。
まずは3つだけ確認するふく。①親の年金は年間いくらか。②仕送りは月いくらか。③銀行振込になっているか。この3つが分かれば、税の扶養に入れるかどうかはほぼ判定できるふく。健保のほうは会社の担当者に聞けば教えてくれるふく。
まとめ|まず年金額を確認するところから
| 税の扶養に入れる条件 | 親の合計所得58万円以下(年金だけなら年金収入168万円以下・65歳以上) |
|---|---|
| 控除額 | 同居58万円/別居48万円(70歳以上の場合) |
| 健保の扶養に入れる条件 | 親の年収180万円未満+別居なら仕送り額が親の収入を上回ること |
| 健保の最大のメリット | 親の国民健康保険料がゼロになる |
| 手続きの時期 | 税=10〜11月の年末調整/健保=いつでも可 |
| 遡れる期間 | 税は過去5年分まで還付申告が可能 |
この記事を読んで「うちも該当しそうだ」と思った方は、次の帰省のときに親の年金振込通知書を見せてもらってください。年間の年金額が書かれています。その1枚で、税の扶養に入れるかどうかが判定できます。
年末調整の書類が配られるのは10月から11月です。それまでに仕送りを銀行振込に切り替えておけば、証明の準備も整います。



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